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RAPの紹介
ランダムノイズはオーディオで例えると、あの「サーッ」というホワイトノイズで、CCDから読み出すときにも発生する読み出しノイズもこれに含まれます。 ランダムノイズ、CCD上のどこにどのくらいの強さで現れるか決まっておらず、撮影するたびにノイズの強さと場所が変わります。 ただし、突拍子もない大きなノイズはあり得ず、ノイズの周波数成分に偏りがあるため、ある一定の大きさ内に収まっています。 このことからランダムノイズは画像をたくさん重ねることで徐々に平均化され、消えていきます。多数枚をコンポジットの目的はここにあります。 一方、もう一つのダークノイズは出る場所と強さが一定なのが特徴です。一定といっても、「露出時間」「温度」「アンプゲイン(ISO感度)」が違えばノイズも変わってきます。逆にいえばこれら3つのパラメータが同じならば、まったく同じノイズになります。 デジカメの敵である、画面の右端や左上にでる赤い高輝度エリア、通称「アンプノイズ」もダークノイズの一種です。 RAPとは、冷却CCDで一般的に行われている「ダーク減算」をデジカメでもやってしまおうというおハナシです。 RAPを使ってRAWダーク減算をすれば、S/NのよいRAWデータを得られるばかりでなく、アンプノイズもきれいに消去でき、600万画素をフルに活用することができます。 ■RAW現像後はダークを引けない
ダーク画像は、レンズにキャップをすれば簡単に撮れます。対象天体を撮った画像(ここでは“対象画像”といいます)からダーク画像を差し引けば、理論的にはダークノイズが消えそうです。
RAW現像は一種の補間処理なので、周囲のピクセルに影響を受けてしまうのです。 対象画像の周囲ピクセルは、そこそこのレベルのグレーなのに対し、ダーク画像の周囲はほぼ真っ黒です。 RAW現像した後を比べると、全然違った値(=色、明るさ)になっているのがわかると思います。 これは画面の端に現れるアンプノイズにもいえることで、RAW現像後にダーク画像を引いた(減算した)ところできれいに消えないのです。 この問題を回避するため、D70をはじめ最近の一眼デジカメは内蔵ノイズリダクション(内蔵NR)を装備するようになりました。これは、対象画像を撮影した直後に、内蔵シャッターを下ろし同露出時間のダーク画像を撮影します。 その後、対象画像からダーク画像を引き算してRAWデータとしてメモリカードに保存しているのです。 確かにノイズは消え、画面の端に出るイヤなアンプノイズもなくなるのですが、“露出時間の2倍の時間がかかる(=撮れる枚数が半分)”、“ヘンな黒い点が現れる”というデメリットも発生しました。後者はノイズによる過剰減算が原因ですが、画像処理でなんとかしたとしましょう。しかし、前者は右のように複雑な色のグラデーションとしてノイズが残るため、どうあがいても消しきれません。 −−きれいに消すためにはどうすればよいか。 RAW現像によって値が変わり、きれいにダーク減算できないのであれば、内蔵NRと同じくRAW現像の前に、すなわちRAWレベルでダーク減算をすればよいことになります。 RAPフリーソフト版は、D70のNEFファイル専用のダーク減算ソフトです。天文ガイド2004年11月号P220「デジカメでダークを引く!」で紹介させて頂きました。 そして、天体写真用として人気のあるEOS Kiss Digital, EOS 10Dへの対応を行い、RAW現像エンジンを内蔵したRAP Ver1.0製品版を2004年12月に発表しました。 2008年、RAP2のプレリリース版を発表、RAWレベルでのフラット補正やDNG書き戻しに対応しました。これに伴い、2010年3月を以って、RAP Ver1.xの販売を終了しました。 |
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