■銀塩画像処理法
■Step 2 周辺減光の補正

図A: スキャン後のデータ。中央部がやや白くなっているのが中央集光(=周辺減光)によるもの。“中判対応”と謳われているFSQ106でも明らかに存在していることがわかる。
スキャンが終わったら、次は周辺減光の補正を行う。
周辺減光(=中央集光)は光学系によってその出方が違う。また同じ光学系で撮影しても、光害が強いところや露出オーバーのときも周辺減光が激しくなる。

光学系は写野の中央部で最も光量が多く、周辺に行くに従い徐々に減っている。よく「6×7版をカバーする広大なイメージサークル」といったコピーがあるが、実際は6×7フォーマット全域で等しい光量ではなく、やはり周囲に行くに従い暗くなる。
メーカーは「中央部の88%の光量があればヨシ(=フラット)とする」といった基準を設けており、それをクリアしていれば“6×7対応”と謳えてしまうのである。
この作品も“中判対応”と言われてるタカハシFSQ106で撮影したものだが、明らかに周辺減光を確認できる(図A)

この周辺減光を補正するには、“フラットフレーム補正”という手法を用いる。
フラットフレームとは、全面一様な光源(例えば曇りの夜空とか)を撮影したもの。周辺減光の現れ方は、光学系依存なので、曇り空を撮ったときも散光星雲を撮ったときも同じように出る。
ということは、散光星雲のデータから、フラットフレームのデータを引き算してやれば、その差分である散光星雲や恒星のデータだけが残るはず。

図B: 図Aの真ん中あたりを水平方向にカットした模式図。縦軸に輝度を取る。赤で塗られているのは対象(星雲)のデータだ。バック濃度がゼロならば、このようになるはず 図C: 実際は光害によってバック濃度があがり、星雲のデータは持ち上げられ、曲線状に曲げられてしまう。
わかりやすくするために右のような図を作成した。図Bは、星雲写真の断面を模式的に見たもので、縦軸が光の強さ(=データ量)になる。赤い部分は散光星雲によるデータ量。純粋に対象の光の量である。
これに光害、夜天光、背景放射といった、均一な光がレンズに降り注ぐ(図C)
この均一な光は、レンズ(望遠鏡)を通過しフィルム面に到達するときには均一にはならず、中央で強く、周辺で弱くなる。これをバック(背景)濃度と呼ぶ(厳密には星雲の光も周辺にいけば弱くなっている)。

図D: フラットフレームの画像データの概念図。光学系による周辺減光の案配を記録したものだ。
図Bのようなデータに戻すには、グレーの部分であるバック濃度を別途作成し、デジタル処理で引き算してやればいい。グレーの部分だけを撮影したデータをフラットフレームと呼ぶ(図D)
銀塩だとフラットフレームの撮影に2時間とかかかるのでたいへんなのだが、デジカメならば数分で終わる処理なので、フラット補正をしたいところ。

図E: Photoshopの演算処理のダイアログ。ここでカンタンにフラットフレームを引き算できる。 図F: 不透明度の数値をいろいろ変えてみて、ほどほどのところで妥協する。所詮、ちゃんとしたフラットフレームではないのだから。
Photoshopでは、作品データを選んだ状態で、[イメージ]→[画像操作]とする。[元の画像]にはフラットフレームの画像を選ぶ。[描画モード]を[減算]にすれば、フラットフレームを差し引ける(図E)。
しかし、100%でキッチリ引かないようにする。背景を黒くするのは最後の段階でよく、それまでは余裕を持たせた方がいい(図E)。[不透明度]の数字をいろいろ変えてみて、ギリギリで周辺減光が目立たなくなるポイントを探す。

図G: [ぼかし]→[ガウス]を使って全体像をぼかす。対象の形が分かるので、これではまだぼかし方が弱い。 図H: このくらいぼかせば十分だろう。これ以上ぼかすと周辺減光の濃淡さえ、均一化されてしまう。
銀塩ではフラットフレームを作っている人は少ない。露出時間もかなりかかるし、光学系だけでなく、フィルムによってもフラットの具合が変わってくるからだ。
そこで、サクッと処理できるお手軽な方法がある。
元の画像からフラットフレームを作ってしまおう、というノリである。

まず、メイン画像の複製を作成する。そして複製した画像をグレースケール変換をする。
[フィルタ]から、[ぼかし]→[ガウス]を選択し、散光星雲の形が見えなくなるまで数値を大きくする。左図のように散光星雲の形が見て取れるようでは、ぼかし方が弱い。
これで「なんちゃってフラットフレーム」ができあがり(笑)。厳密には散光星雲の輝度成分が残っているのでフラットフレームとは呼べないのだが、効果は十分得られる。

フラットフレーム補正が終わった画像。完全には修正し切れてないが、それは仕方ない。
フラットフレーム補正は、上で述べたのと同じように、[イメージ]→[画像操作]で減算を行う(図E)。不透明度の数値に注意。強すぎてもダメだし、弱すぎると意味がない。周辺減光を完全に消し去ることは無理なので、“なんとなく目立たなくなる”くらいで妥協する。
こうしてできあがった補正後の画像が図Fだ。


■インデックス
■Step 0 画像処理に使うソフト
■Step 1 ネガ・ポジのスキャン
■Step 2 周辺減光除去
■Step 3 カラーバランス補正
■Step 4 ハイコントラスト処理

コラム:よい空で撮るメリット

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