■Photomerge(Photoshop CS3)によるモザイク合成

2007.07.01.初稿

PhotoshopCS3(以下「CS3」)の機能の一つである“Photomerge”が実におもしろかったので取り上げてみる。
Photomergeは、本来パノラマ写真を作るためのプログラムだが、天体写真のモザイクにも威力を発揮する。

「モザイク合成をやってみたいが、やり方が分からない。難しそうだ。」と思っている人も多いかもしれない。
そんな人にはCS3のPhotomergeを使えば、非常に簡単に、かなりのレベルのモザイク合成ができる。


サンプルは、カリフォルニア星雲のデジカメ画像。同じ露出で撮影し、同じパラメータでRAPで現像したのだが、なぜか色味が違う。空のヌケが変わったとかいろいろ要因はあるかもしれないが、せっかく撮ったのだからなんとかしてうまくつなげて作品にしたい。
天文誌フォトコンでも流行のモザイク合成だが、接合面がわからないようにきれいにつなげるのは結構難しいのだ。特にこの例のように同じ露出で撮影し、画像処理も同じ前処理を施したにもかかわらず、同じように写ってないということはよくあることなのだ。

モザイク合成のポイントは「位置合わせ」と「色合わせ」の2点である。
「位置合わせ」に関しては、撮影時にある程度の“重ねしろ”を確保して撮影しておき、モザイク合成時に同じ星を重ねる。しかし、重ねしろのある星をピッタリ合わせると、別の星がずれてしまうことに気付く。どう回転させてもどう移動させても全ての星がピッタリ重なることはない。
これはレンズによる歪曲収差(歪み)が原因だ。広角レンズだと顕著に表れるが、望遠鏡のような長い焦点距離でも歪みは存在する。よって全コマの歪みを補正してからモザイク合成を行うのが理想的だ。
Photoshopのフィルタの一つ「レンズ補正」はこの歪みをキャンセルするための機能だ。ただ、機能と目的はわかっているのだが、それをうまく使う方法が自分には見つかってないので使いこなせないでいる。このフィルタ、トライアンドエラーがやりにくいのだ。
ではどうするかというと、Photoshopの「ワープツール」でちまちまと小さな変形を繰り返して追い込んでいくか、多少のズレは許容し、接続部分がわからないようにうまく接続面を選ぶかのどちらかだ。

モザイクの枚数が増えていくと接続面数も増えていくため、ワープツールで合わせ込んでいくのはなかなか面倒だ。しかもモザイク合成により拡大率が小さくなり、少々のごまかしも効く。とりあえずは「可能な範囲で合わせる」くらいで妥協しておき、接合面が目立たないように切り分ける方法が簡単だ。

位置合わせがうまくいったとしても、色が違っていたら接合面でハッキリと分かってしまう。色を厳密に合わせるのは結構難しい。背景色に合わせれば星雲がずれるし、星雲で合わせれば背景がずれる。
一般的にはトーンカーブの調整レイヤを何層も使って少しずつ追い込んでいくのだが、このサンプル画像くらい色が違うとなかなか合わないのである。

CS3のPhotomergeは、位置合わせと色合わせを自動でやってくれる。
どちらもユーザーは何も設定することがないくらい簡単。重ねしろはここだよ、とユーザーが指定する必要もない。画像解析により、2つの画像に含まれる「ほぼ同一と思われるエリア」を自動的に認識して位置を合わせている。
色味もほぼ同じになるように自動的に調整される。なんとも便利というか、今までのモザイク合成の苦労は何だったの?という感じ(笑)。


手順は[ファイル]→[自動処理]→[Photomerge]を実行。ダイアログからモザイク合成用の2枚のファイルを選んでOKボタンを押すだけ。レイアウトは[自動設定]もしくは[位置の変更のみ]にする。


しばらくするとレイヤーで重ねられたモザイク画像が完成する。初めてのときはちょっと感動しまった…(笑)
もちろんよく見ると色の追い込みが足りないのだが…。
では合成されたモザイク画像の接続面を見てみよう。


各画像は別のレイヤに配置され、レイヤーマスクによりモザイクの接合面が作られている。ここで一時的にレイヤーマスクを「使用しない」に変えてみる。


接合面はもうとんでもないギザギザ。重ねしろの星と星の間を縫うように接合面が設定されている。
歪み補正までは厳密に行っていないようだ。パノラマ合成用の遠近法や円筒法は天体写真では使えないので、内部的には[位置の変更のみ]を行っているのだろう。ズレ具合を見るため、片方のレイヤを[差の絶対値]に変更して見る。

[差の絶対値]で重なり具合を見てみるとわずかに星がずれている。収差まで補正してくれるわけでは無さそうだ。
レイヤーマスクを[使用する]に戻し、[差の絶対値]表示にしてみた。接合面の1ピクセルのみ重ねしろになっている。

注意点としては、両方の画像の向きが同じであること。片方が180度反転しているような画像では自動合成できない。これは「画像Aの右辺と画像Bの左辺」、「画像Aの左辺と画像Bの右辺」というように、パノラマ撮影をした際に接続されるべき辺をチェックをしているからだ。天体写真では、「モザイクの2枚目は子午線越えなので180度反転している」なんてこともある。この場合はあらかじめ加増回転コマンドを使って向きを揃えておく。

色味は全く問題ないというレベルではなく、厳密にいえばズレはわかってしまう。さらに追い込んでいくにはやはり調整レイヤで微調整をする必要がある。ただし、Photomerge処理後が微調整の開始点になるわけで、明らかに作業は楽になる。
あと、周辺減光やカブリがきつい画像もやはり合わない(合いにくい)。事前にフラット補正なり周辺減光補正を行ってある程度は補正しておいた方がPhotomergeも仕事がしやすいようだ。

まだまだ使い込んでないのでこれがベストの結果である自信はないが、かなり使える機能だと感じた。
Photoshopは10万円もする高価なソフトウェアなので、新規購入という人にはこの機能だけでおすすめはできないが、すでにCS/CS2を持っているならば、バージョンアップ料金は3万円以下なので、天体写真趣味のコストから考えれば投資するに値する金額ではないだろうか。

そのほかに試してみたモザイク画像など。

■ぎょしゃ座の散光星雲

■カシオペア座の散光星雲



本サイトのコンテンツの著作権は、作者に帰属します。商利用等のご相談はこちらまでご連絡下さい。
当サイトへのリンクは自由です(you are free to link to in your page.)。